日本語には多様な方言がみられ、それらはいくつかの方言圏にまとめることができる。どのような方言圏を想定するかは、区画するために用いる指標によって少なからず異なる。
東西の方言差
一般に、方言差が話題になるときには、東西の差異が取り上げられることが多い。東部方言と西部方言との間には、およそ次のような違いがある。
まず、文法の面では、否定辞に東で「ナイ」、西で「ン」を用いる。完了形には、東で「テイル」を、西で「トル」を用いる。断定には、東で「ダ」を、西で「ジャ」または「ヤ」を用いる。アワ行五段活用の動詞連用形は、東では「カッタ(買)」と促音便に、西では「コータ」とウ音便になる。形容詞連用形は、東では「ハヤク(ナル)」のように非音便形を用いるが、西では「ハヨー(ナル)」のようにウ音便形を用いるなどである。
音韻の面では、母音の「う」を、東では非円唇母音(唇を丸めない)で、西では円唇母音で発音する。また、母音は、東で無声化しやすく、西では無声化しにくい。このほか、アクセントにおいても東西で顕著な対立がみられる。
方言の東西対立の境界は、画然と引けるものではなく、どの特徴を取り上げるかによって少なからず変わってくる。しかし、おおむね、日本海側は新潟県西端の糸魚川市、太平洋側は静岡県浜名湖が境界線(糸魚川・浜名湖線)とされることが多い。糸魚川西方には難所親不知があり、その南には日本アルプスが連なって東西の交通を妨げていたことが、東西方言を形成した一因とみられる。
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